放射線治療センター

放射線治療センターの紹介

手術、化学療法(抗がん剤を中心とした薬物療法)とならんで、放射線治療はがん治療の3本柱の一つです。当院では高精度の放射線治療装置(リニアック)を導入し、本年7月中旬から放射線治療開始を予定しています。

放射線治療は、一般的に云って手術や抗がん剤に比べて体への負担が軽く、このため高齢の患者さんや心臓や肺に合併症を持っている患者さんでも治療をすることができます。さらに病変のある部位の形態および機能を温存することができ、いわゆる「切らずに治す」ことが可能であり、QOL(生活の質)の保持に優れている治療です。放射線治療は非常に多くのがんの治療に用いられます。一部の早期がんでは放射線治療単独で90%以上の局所制御が得られます。また手術が困難な局所進行がんでは、放射線治療と化学療法の併用療法は標準治療(現時点で最良の治療として患者さんに薦められる治療法)となっています。

また放射線治療は、根治的治療(がんを完全に治すことを目的とする治療)として用いられるだけでなく、進行したがんの症状を和らげる治療としても広く用いられています。例えば骨転移の痛みやがんからの出血などは大変辛い症状ですが、放射線治療はこれらの症状の軽減に非常に有効であり、患者さんのQOLの改善に重要な役割を果たします。

近年、放射線治療の技術は目覚ましい発展を遂げました。強度変調放射線治療(Intensity-modulated Radiation Therapy: IMRT)や定位放射線治療(Stereotactic Radiotherapy: SRT)といった高精度の放射線治療が開発され、正常組織に対する放射線の線量を低く押さえつつ、がんに対しては高線量を照射することができるようになりました。これによって副作用が低く効果の高い治療を実現することができるようになっています。

当院では、日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会認定放射線治療専門医を含む、放射線治療に関する豊富な経験と確かな技術を有する医療スタッフをそろえ、高精度の治療技術をフルに生かして、安全で効果の高い放射線治療を行っていきます。治療方針は、関連する各科と医学的な情報に基づいて協議するだけでなく、患者さんの価値観、生活環境、個人の状況などを考慮して、最適な選択を導き出すことを目指します(Shared Decision Making)。そして当院は放射線治療を通して、地域の医療機関と連携して、所沢・狭山・入間を中心とした埼玉県西部医療圏のがん治療の向上に貢献してまいります。


図1 前立腺癌に対する強度変調放射線治療
周囲の正常臓器(直腸、膀胱)への線量を低く抑えて前立腺に集中して高線量を照射する。

図2 I期肺癌に対する定位放射線治療
周囲の正常肺組織への線量を低く抑えて肺癌に集中して高線量を照射している。

医師紹介

  • 放射線治療センター長
    加藤 眞吾(かとう しんご)
    出身大学 群馬大学
    資格 日本医学放射線学会(JRS)・日本放射線腫瘍学会(JASTRO)合同 放射線治療専門医・日本医学放射線腫瘍学会・日本専門医機構 放射線科専門医
    所属学会 日本放射線腫瘍学会
    日本医学放射線学会
    日本癌治療学会
    日本肺癌学会
    日本婦人科腫瘍学会
    日本粒子線治療研究会
    北関東医学界会
    日本放射線腫瘍学会代議員
    日本放射線腫瘍学会小線源治療部会常任幹事
    日本放射線腫瘍学会高精度外部照射部会幹事
    日本医学放射線学会代議員
    日本婦人科腫瘍学会代議員
    日本放射線腫瘍学研究機構(JROSG)婦人科腫瘍委員
    重粒子線治療多施設共同臨床研究組織(J-CROS)運営委員会
    婦人科腫瘍分科会委員
    アジア原子力協力フォーラム(FNCA)放射線治療プロジェクトリーダー
    国際原子力機関の地域協力協定(IAEA/RCA)の放射線治療プロジェクト国内対応委員
    加藤 眞吾